やっとこ更新しますた!!
今回は以前のスコティ前提ヤンデレ風味バツティの続きです。
流血表現だったり、バッツが消滅してたりするので、苦手な方はご注意ください;
続きからです^^
さてさて、絵を描きますよー!
やるったらやるんだ!課題なんて…課題なんて…!!←
空を、暗雲が覆っていた。
今が昼なのか夜なのか、まったくわからない。
ただ、わかることは。
「…やっぱり来たのか」
オレのティーダを横取りする、王子気取りのあいつが来た。
「ずいぶん派手な御登場だな。驚いたぜ」
あいつが突っ込んできたおかげで、オレとティーダのいた部屋は半壊。
必然的にオレたちは外で対峙することになった。
「…無事だったか、ティーダ」
「スコール…っ!」
こっちを一瞥して腕の中の太陽に安否を尋ねるあいつ。
その腕の温かさに心から微笑むティーダ。
滅多に微笑まない奴の笑顔。
本当に心から安堵して微笑む、愛しい彼。
そこには
オレの居場所なんてなかった。
憎いんだか疎ましいんだか悲しいんだか哀しいんだか、よくわからなくなった。
ただただ、黒い感情ばかりがオレの全身を駆け巡って。
笑みが零れる。
「居場所がないなら」
そう。
オレはもう躊躇わない。
「奪い取る」
剣を抜いたのはほぼ同時だった。
あいつはティーダを離れた所に逃がして、オレと一旦距離をとる。
「どうしてティーダを攫った」
「わかんねえ?…お前とおんなじだから」
「何が言いたい」
「しらばっくれんなよ」
地を蹴り、剣を振り下ろして斬りつける。
ガンブレードがその剣を受け止めた。
「――って言っても、お前は覚えてないんだっけ」
火花と一緒に金属音がオレたちの間で弾ける。
退くと、ガンブレードから魔力が放たれ、一直線に向かってきた。
目の前で光が弾ける。
しかし、避ける気は毛頭ない。
避けたところで待っているのは斬撃だ。
ならば、と放たれた魔力を右手で受け止め、左手で暗黒剣を構えた。
右手に焼けるような痛みが走る。
でも退くわけにはいかない。
そのまま突進して暗黒剣を突き出す。
紙一重でその一撃は避けられてしまった。
だが、それだけでは終わらせない。
「――っ!?」
あいつの頭上から光弾が降り注ぐ。
そのうちの一発が直撃し、あいつの体が硬直する。
その隙に聖剣に持ちかえて斬撃を繋げた。
「…まだまだっ!!」
ガンブレードが構えなおされる。
気づくと、八方に魔力の玉が配置されていた。
ガンブレードから放たれた魔力がそのうちのひとつに当たって誘爆させる。
直撃して爆風に吹き飛ばされた。
地面を転がると、体のあちこちが擦りむけた。
背中を強く打ち付けると、口から血が溢れた。
それでも倒れるわけにはいかなくて。
ティーダを渡したくなくて。
オレは、立ち上がった。
ふらつく足を叱咤する。
霞む視界を消すように、あいつを睨む。
早口で呪文を唱え、雷撃を召喚する。
それは横にかわされたが、それこそが狙いだった。
「そこだ!」
予測していた位置に向かって武器を投げる。
魔力で手とつないだそれは、あいつを巻き込んでオレのもとへ帰ってきた。
戻った剣を横に薙ぐ。
その斬撃はあいつの腕を深く抉ったが、致命傷は与えられなかった。
舌を打った時、胸に重い衝撃を感じた。
あいつの掌が押し当てられている。
骨や内臓が嫌な音を立てた。
先ほどとは比にならない量の血が口から溢れる。
どうやら掌には魔力が込められていたようだ。
一旦距離をとって、咳きこむ。
溢れた血は足元を赤黒く染め上げた。
なんとか顔を上げると、愛しいティーダの姿が目に入った。
「――」
急に、胸が締め付けられるように痛んだ。
彼の顔には、もう先ほどまでの微笑みはなくて。
オレを見つめているその目は、絶望とか、軽蔑とか、そんな感情を含んでいるように見えて。
ああ。
オレは彼に安堵の表情すらさせてやれないのか。
安らいだ笑顔さえ浮かばせてやれないのか。
和やかな空気も甘美な言葉も温かな心も彼を太陽を輝かせる舞台を彩るものを、
オレは、彼に与えられない。
「――っ」
オレの命が吐き出される。
この異説も、きっともうすぐページがなくなるんだ。
ならばせめて、最期に求めたい。
オレは視線の先で輝く太陽に手を伸ばす。
その心、
存在、
毛先まで全て。
オレのモノにしたかった。
今まで小さな箱に押し込めていたいろんな思いが溢れ出して、わけがわからなくなる。
いや、はじめからこの気持ちを小さな箱に詰めるなんて無理な話だった。
たとえこの異説が終わりを告げても、すぐに次の異説が始まる。
オレはもう躊躇わない。
どんな立場にあっても、誰が記憶を失っていようとも。
オレは忘れない。
きっとティーダを探し出して手に入れてみせる。
手放さない記憶と、この重い想いがオレに道を示す。
だから。
「うおおおお!!」
もう一度地を蹴って、あいつに肉薄した。
あいつもガンブレードを構える。
世の中は不条理だ。
そんなこととうの昔にわかっていた。
しかし、自分に関わるとこんなにも大きいものになるとは。
剣が擦れ合って、しかし、その勢いは衰えない。
「やめてぇぇぇぇぇぇ!!」
自分でもどう繰り出したかわからない一撃は、あいつに当たってはくれなかった。
その代りに、オレの腹部には、ガンブレードが突き刺さっていて。
痛さなんて感じられなかった。
それが引き抜かれると、オレは勢いよく崩れ落ちた。
体の感覚が消えたように無い。
足音が聞こえたと思ったら、視界が動いた。
首を動かすと、最愛の人。
「てぃー……だ」
澄んだ瞳は涙で潤んでいて。
綺麗な手は、オレの血で汚れていく。
「バッツ…ごめん…ごめんッス…!」
「どう、して…謝る…ん、だよ」
頬に触れてやると、大粒の涙がこぼれ始めた。
「オレ…バッツの気持ちに…応えて、あげられなかった…!でも、でも…死んでほしくない…!スコールにも、バッツにも…!二人に、そばに、いて、欲しい…っ!!」
「ティーダ」
「なのに、止められなかった…!こんなことなら、欲張んなきゃよかった…!」
二人とも大切だなんて、思わなければ。
そう言った彼に、オレは微笑む。
「もっと、欲張って、いいさ」
だって、お姫様はわがままだから。
ティーダはオレのお姫様なんだから、オレはその願いを叶えるよ。
欲張りなくらいがいい。
もっともっと、オレを求めて。
「お前、に、そんな顔させるなら…」
混沌なんて、嫌だな。
もう伝えられることも少ないというのに、オレはそんな嘘をついた。
混沌が嫌とは思わない。
むしろ、秩序より好き勝手出来て自由でいい。
でも、ティーダの笑顔が見れないなんて。
「バッツ…!!」
「は、あ……もう、駄目、か…」
黒い電撃が体を這い、その輪郭を奪っていく。
オレのこの異説はもう終わりを告げるらしい。
混沌に染まった者の最期。
黒い電撃は、魂までも喰らわんと襲いかかってくる。
しかし。
「……?」
黒かった視界が、白に塗りかえられていく。
電撃も、やわらかい光に変わって。
どうして、と視線を動かすと、ティーダの涙が絶えることを知らないように溢れていた。
それが、黒い電撃を白い光へと変えている。
オレは笑って、悲鳴を上げる体を無視してティーダに口づけた。
ああ、ああ、ティーダ、聞こえるかな。
愛しいお前の名前さえ紡げなくなってしまったけれど、
オレはまた生まれ変わって、お前の隣で愛を囁くよ。
そう。
もう諦めない。
もう躊躇わない。
一個先の世界で、待ってるから。
泣き崩れる愛しい少年と、もう動かない青年を見つめた。
ティーダは護られた。
カオスの手駒たちに傷つけられた様子もない。
しかし、安堵も喜びも溢れてこなかった。
最期に、
「――バッツ」
こちらを見て微笑んだ彼の顔に、
浮かんでいたのは、
「お前は…何が言いたいんだ」
微笑んでいたようだった。
しかし、その顔に浮かんでいたのは、
――責めるような、冷やかな表情。
結局のところ、バッツもスコールもティーダが大好きなんですww←
そのうちスコールにも記憶を保持してもらわんといよいよややこしくなりますね(笑
うおお…連載も書かねば><
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