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3月15日、ブログ
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お待たせいたしました、長編の7話目でございます!

いろいろとみんなに変化が…
起きてればいいですけどww←
何はともあれ、きちんと最後に着地させねばですねっ!

では、続きからどうぞ♪







目を開けると、綺麗な天井が見えた。
月明かりがゆっくりと視界を照らしていく。
窓の外を見ると、ちょうど月が顔を出していた。
――嫌な夢を見ていた。
そんな気分だ。
いや、実際夢ではなかったのだが…
「お、起きた?スコール」
声に反応して首を動かすと、金髪の少年が笑っていた。
――救わなければと、必死に探し求めていた少年。
すべてを思い出し、目を伏せる。
すると、彼も悲しげに笑うのが感じられた。
「…憶えてるんだな」
「ああ…全部、な…」
「オレ…自分が造られたなんて、まだ信じられない」
ジタンは俯いて、どうしようもなく笑った。
「でもさ、オレが変換者なら、オレだっていろんな職業になれるわけだし、世界を救うのも夢じゃないってことだよな!」
その姿に胸が締め付けられる。
気持ちがわかるなんて言えたものではない。
今までの自分を否定されて、それでもこうして気丈に振る舞おうとしているジタンは、なんて強い心を持っているのだろう。
自分には絶対にできない。
思っても、口に出すことはできなかった。
きっと、彼の心は今にも壊れてしまいそうなのだろう。
「…」
心、
そう思ったとき、ある人物の顔が思い浮かんだ。
眩しかった笑顔が浮かんで、しかし、塗りつぶされて真っ黒になる。
心を大切にしていた、彼。
「オレには…心を語ることなんてできない」
傷つけてしまった、優しかった彼。
「スコール?」
呟きを拾ったジタンがスコールの顔を覗き込み、その思いを察して身を引く。
「ごめんな…オレがしっかりしてれば、こんなことには…」
「いや、ジタンの所為じゃない」
そう。
自分が言葉に惑わされなければ。
彼――ティーダがいなくなることなんてなかった。
ひどいことを言った。
心を大切に、自分たちを大切に思ってくれていたティーダに。
彼が、一番恐れていたことをしてしまった。
「大丈夫だよ、スコール。ティーダなら、さ」
歯切れ悪くジタンが言う。
きっと根拠がないからだろう。
しかし、ジタンは何とか俺を励まそうとしてくれているのだ。
それを無下にする気はない。
「スコール」
真面目な表情で、ジタンはスコールに向き直った。
「あの日のことが、クジャの――今、オレたちと一緒にいるクジャの仕業じゃないってことは理解してくれたよな?」
「ああ」
今ならわかる。
あんなにジタンを大切に思っているのだから、そんな奴が殺そうとしていたなんて、到底思えないし、本人も否定していた。
自分が感情に流されたという事実がより濃く浮かび上がってくる。
しかし、ジタンが言いたいのはそこではないらしい。
「いろいろわかってさ、いろいろ…考えた。」
「そうか…」
「スコールになら素直に話せる気がする。…聞いてくれるか?」
勿論だ、と頷く。

一呼吸おいて、ジタンは口を開いた。
「クジャってさ、いつも余裕こいてるし言い方はムカつくし、何考えてるかわかんないときもある。…でも、オレを気にかけてくれてるって、思うこともあるんだ。なんだかんだでオレを助けてくれるし…何だか、生まれ方が一緒って言われても妙に納得できるなあって思ったりもする。」
ただ黙って、スコールは頷く。
「だから、オレ…この気持ちが何なのか、まだわかんねえけど…」
ぎゅ、と小さな拳が握られた。
青い瞳には、溢れんばかりの決意の光。
「オレはクジャを失いたくない」
全てをわかって、全てを隠してきた彼を、
憎むのではなくむしろ感謝して。
彼もまた、心の崩壊を恐れていた。
だから真実を告げなかったのだ、と。
「…素直じゃないな」
スコールが笑う。
滅多に見せない、優しい微笑み。
それに込められた意味を見出し、ジタンも笑った。
「それはスコールも同じだろ?」
ちゃんとわかってるくせに、と意地悪く言ってやると、スコールは驚いたように目を瞠る。
「本当に護りたい人、ちゃんとわかってるだろ?」
姿を消してしまった、尊い太陽。
きっと彼はその太陽を護りたいはずだ。
スコールは誤魔化すように表情を二転三転させて、ジタンの背中を押す。
「スコール?」
「行ってやれ。――わかったなら、傍にいてやるといい」
優しく送り出すと、ジタンは一度振り返ったが、体のほうは心配ないと言ってやると安心した様子で部屋を出て行った。

「…いつの間にか…お前のほうが大人になってたんだな…」

今ならちゃんとわかる。
ジタンに抱いていた感情は、特別なものではなくて。
ただの、大きすぎて独りよがりの責任感。
過保護だった。
彼は、俺がいなくてももうやっていけるというのに。
彼を護ることで、俺は何に縋っていたのだろう。
進まなければいけないのは、俺だった。
「なーんだ。気づいちまったのか」
窓の外から、声。
「バッツ…」
「まあ、それでよかったよ。これでお前がまだジタンを護るとか言い出したら、ただじゃ済まさなかったし」
皮肉を言うように、バッツは笑う。
しかし、彼の瞳は少しも笑っていなかった。
その奥に隠されている、彼の言いたい言葉を、俺は知っている。
「あいつは…もう護ってくれる奴がいる」
もうわかった。
あの二人は、もう大丈夫。
あの少年は俺が護らなくても。
そう、わかったから。
だから、そうわかった俺に、お前が言いたいのは。
「…じゃあ、自分が次に何をするのか、考えないとな」
外、見てみろよ、とバッツが体をずらす。
目に飛び込んできたのは、
「――!!」
闇に包まれた、世界だった。
「もう世界のほとんどがこうなっちまったらしい…時間は、残ってないな」
闇の中心に、天まで届くほどの黒い影。
それはただ立っているだけだったが、スコールがそれに気付き、見つめた瞬間動き出した。
柱のようなそれから何本もの触手が伸び、足元の大地を引き剥がしていく。
「何だ、アレ――!?」
轟音と共に、大地が揺れる。
開け放たれた窓から風が吹き込んできた。
その時、

『        』

「「!!」」
二人の頭に、声が響いた。
その表情が焦りや不安、絶望にも近い色に染まっていく。
唇から零れ落ちるのは同時に、同じ名だった。
「「ティーダ…!?」」


闇の柱は、まっすぐにゴルベーザの城へと向かって動き出した。
「あんなの…さすがに黒竜とリヴァイアサンでもヤバくないか!?」
「考える時間もないってことかい…」
窓の外を見つめるジタンとクジャが各々呟く。
二人の隣で、ひそひそうが輝いた。
「!これ…」
「まさか、皇帝から連絡…?」
以前と同じように耳に取り付けると、雑音を混ぜながらも皇帝の声が届いた。
[お前たち、今どこにいる]
「ゴルベーザの城だ。皇帝、あんたは?」
[私は自分の城にいる。奴らは――我が城にまで侵入しようとしているようでな]
「大丈夫なのかい?」
[愚問だな。私は何にも支配されん]
爆発音とともに、一瞬通信が切れる。
しかし、すぐにまたつながれた。
[闇の中心に柱が見えるだろう]
「ああ…今、こっちに暴れながら向かってる」
見ると、触手の本数は増え、手当たり次第に大地を引き剥がしていた。
[どうやらあれが神竜とこの世界をつないでいるらしい。――先程、一瞬だけ強大な力を感じた]
「どういうことだ?」
[いわばあれは神竜とこの世界を繋ぐ道ではないかということだ。あれをどうにかすれば、神竜にたどり着けるかもしれん]
「それは…神竜がこの世界に出てくる前にどうにかできるかもしれないって聞こえるけど?」
クジャが皇帝に問う。
それなら世界を救えるかもしれない。
[そういうことになるだろうな]
「なら決まりだ!この世界に神竜が来る前に、オレたちで神竜を倒す!」
ジタンが拳を握った。
しかし、皇帝はため息を漏らした。
[意気込んだところでどうする?神竜を倒す倒さない以前に、あの柱をどうするか、お前たちはわかっているのか?]
「…それは」
ジタンもクジャも、言葉に詰まった。
あの柱をどうにかすれば、というのは、きっとあの柱を道に変えるということだろう。
しかし、それ以外何もわからないのだ。
どうすればあの柱を道に変えられるのか、道に変えたらどうなるのか。
何一つ、わかることなんてなくて。
職業を変えれば、何だってできるのに。
その方法がわからなければ、どうしようもない。
「でも…諦めるわけにはいかねえだろ…っ!!」
手が白くなるほど拳を握る。
悔しかった。
もう少しのところで手が届かないのがひどくもどかしく感じる。
眼を瞑りそうになったとき、
勢いよく、扉が開いた。
「あの柱――俺たちに任せてくれ」

「スコール…バッツ…!」
扉を開いたのは、スコールとバッツだった。
走ってきたのか、肩で息をしている。
「どうしたんだい?ずいぶんあわてているようだけど――」
「ゴルベーザ、偵察竜をあの柱の近くまで飛ばせるか?」
「勿論だ」
ゴルベーザが右手を闇の柱に向けると、そちらに向かって紅い光が一筋、まっすぐに飛んで行った。
すると、玉座の後ろの壁に外の映像が映し出された。
闇の柱の中心に人影らしきものが見える。
そこにいたのは――
「な――!?」

闇の中に、
きらり、きらり、
眩いほどの金が揺れる。

「そうだ…あの柱は」
「ティーダと闇が結びついて出来てるんだ」

「頼む、ジタン…俺に行かせてくれ。あいつを闇に落としたのは、俺だ」
革製の手袋が擦れる音が微かに届いた。
俯いたスコールの表情は髪に隠れて見えなかったが、その声から悔しさや焦り、たくさんの感情が痛いほどに伝わってきた。
「城の外はほぼ完全に闇の世界だよ。それでも――キミたちは彼の元にたどり着けると言うのかい?」
変換者は神竜と引かれ合う。
だからきっとあの柱にたどり着けるとは思うが、彼らはそうはいかない。
もしあの闇に迷い、道を見失ってしまったら。
「大丈夫だ」
バッツが笑って、窓の外に視線を移す。
飛び込んでくるのは、真っ黒な、高い、高い、柱。
「オレたちには――聞こえてるから」


『   』
『    』
『きえてく…おれの、たいせつな…!!』


「…では、そなたらに全て託そう」
ゴルベーザがバッツを、スコールを、クジャを、ジタンを見やって言う。
「そなたらが戦っている間、こちらの世界は任せておけ。私たちが護ってみせる」
「頼んだぜ、ゴルベーザ」
漆黒のマントを翻し、ゴルベーザがバルコニーへ向かおうとしたとき、
『ゴルベーザ様』
一陣の風が隣に集まり、風のバルバリシアが現れる。
『闇の柱が、強大な魔力を集め始めております。おそらく、こちらに向けて発射するかと』
「何…?」
『ですから、そこの冒険者たちを行かせるのは、少しお待ちください』
「ちょっと待てよ!それ止めないと、この城自体ヤバいんじゃないのか!?」
ジタンが問うと、バルバリシアは振り向いて、窓の外――城門を見下ろす。
『今からあの柱に向かっても遅いわ』
そこには、小さな、小さな、少女の姿。
充填されていく大きな魔力に、怯むことなく向き合っている。
「こうなって、しまったか…」
ゴルベーザも少女を見つめる。
「無理はするな……命を、消さないでくれ」
誰に言うでもなく、城主は呟いた。

充填された魔力が一直線に城に向かって発射される。
その強すぎる光にジタンたちは目を庇ったが、それが城まで届くことはなかった。
城門あたりで、魔力が全てせき止められている。
「まさか…全部あの子が!?」
少女が、魔力を一身に受け止めている様子がかろうじて見えた。
信じられない光景だった。
「無洞師は、その体に魔力を吸収することができる。故に、どんな魔法も彼らには通用しない」
魔法に対する、絶対的無効化。
それが彼ら無洞師の唯一にして無二の力だと、
そう語るゴルベーザの声は、いつもより弱々しい気がした。
「それなら、心配しなくても大丈夫だろ?」
魔力の吸収・無効化の能力は対象に対して絶対的な効果を発揮する。
だから、本来なら心配などする必要もないはずだ。
しかしゴルベーザは首を横に振った。
「あの小さな体に、大きすぎる魔力は詰め込めぬ…無洞師であるといえど、あれは特例だ。…限界が、ある」
言い終わると同時に、魔力の光が退いていった。
集束し、全ては小さな体へと収められた。
「バルバリシア、補助に」
『承知いたしました』
ゴルベーザの命令に、風の四天王が従い、姿を消す。
それを見送り、ジタンたちは互いを見合った。
「――それじゃ、行くか!」
ジタンが扉を開ける。
長い廊下に光を供給していたはずの窓からは闇しか見えないが、怯むことはなかった。
――護りたいものがある。
救いたいものがある。
その存在が、彼らを前へ進ませた。


「…何故ゴルベーザの城に向かわなかった?小僧に言われていたのだろう?」
「もう、闇が周りを埋め尽くしていたの…それに、柱が、ゴルベーザの城に向かって…」
息を切らしながら、ティナは必死に訴える。
切れ長の冷たい目が彼女を見つめた。
「それで、迷わないように標を立てろと言うのか」
「ごめんなさい。でも…私には何もできなくて…」
「…まあ、良い。あの小僧のことだ。お前を保護しなければうるさく私に食ってかかるだろう」
そう言って、皇帝は魔方陣を八方に飛ばした。
ティナはほっと安堵の息を漏らして、胸を撫でおろす。
「これで心配はない。お前もどこかに身を潜めて居ろ」
杖の先端に魔力を集めて、皇帝はティナを下がらせようとした。
しかし、少女は動かなかった。
「…私も、戦いたい」
ぎゅ、と拳が握られる。
「護られてばかりじゃ、いけないの。今度は私が護らなきゃ…!」
彼女の体から、溢れんばかりの魔力を感じた。
淡い紫の光が宙を舞う。
それを見つめる皇帝は、ふと、閉じ込めた青年を思い出した。
どこか似ている気がしたのだが、一瞬だけだった。
城の方に視線を向けて、今彼はどんな顔をして待っているのだろうと考える。
部屋から出ようと足掻いているかもしれない。
悔しさに支配されているかもしれない。
しかし、外に出すわけにはいかなかった。
彼を、自分以外が支配するなんて、許さない。
「…ついてこい」
「え…?」
「言っただろう。あの小僧が五月蠅いと。しかし戦うのだろう?…ならば、私の後ろに居ろと言っている」
マントを翻し、皇帝が闇の集まりに向かう。
その後ろを、少女が決意と共に歩み始めた。


ゴルベーザの城の門を出ると、すぐ目の前は闇の海だった。
だが、誰ひとりと怯んでなどいない。
「大丈夫だよな。みんな…闇に呑まれたりしない」
「ああ。任せろ…あいつは、俺が救ってみせる」
「おいおい、オレも忘れてもらっちゃ困るっての」
「ふふ…心配など無用、ということだね」
「よし。――いっちょ行くか!」









またまた長くなっておりましたね(汗)
ここまでお読みいただきありがとうございます!

スコールの中でのジタン関係のことには決着がついた…かな?
彼もようやく彼自身のことに向かっていけると思います。
しかしバッツという新たな障壁がww←

ハッピーエンド目指して頑張りますね!
ということで誰か時間を;;;
ではでは、また次回♪

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