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五話目できました!!
前回に引き続きハリケーン(爆)
もう何がしたいか自分でもわからないw←

最近はバッツが動かしやすくなってきましたw
バツティも好物でs(ry

GWに姉が千葉から帰ってくるそうです。
その時K/Hを持って帰ってきてくれるそうなので、プレイします!
そして小説書こうww←
思えばスコールもティーダも出てるしなあ…あ、レオンか。
頑張ります!

では、つづきから連載五話目です!
長い…(汗)







深い深い、森の奥。
変換者は岩に腰かけ、月を見上げる。
月光を受けた銀髪が、濡れたように光っている。
「ジタン」
もう、戻れる気がしなかった。
当たり前だ。
本来なら、彼はもうこの世に存在しなかった。
自分の、せいで。
しかし、太陽の子は言った。
ジタンは会いにくる、と。
でも、
でも、もしあのことを知ってしまったなら。
隠してきたあのことを、第三者が話したならば、
彼はどうなってしまうのだろうか。
「違うんだ…ジタン、それは、僕じゃない」


「あの日…オレたちを襲ったのが、クジャだって――!?」
ジタンは、クラウドの言葉が信じられなかった。
「そう、名乗っていたらしい。もっとも、誰がそう聞いたか、わからないが」
クラウドも悲しそうに目を伏せた。
大きな窓から、月の光が差し込む。
「そして、世界は今、改変の刻を迎えようとしている…狂気と交わった変換者は、全てを無に
帰す存在――神竜に力を与えうる存在と成るらしい」
「改変の、刻…?」
「すべての職業が力を失い、世界が無に還る時のことだ。変換者は――それを止める術にもなったのだが…」
その術が狂気と交わっては、希望の光が消えたも同然だった。
代わりの変換者など、簡単に見つかりはしない。
「…なあ、一度狂気と交わったら、もう駄目なのか?」
ジタンが問う。
クラウドは、その瞳を見て、空を見上げ、目を閉じる。
「もし、その狂気から引き上げることができたなら――」
「可能性はゼロじゃない。…そういうことだろ?」
まっすぐな瞳が、声が、希望を手さぐりで探していく。
あてもない、確証も根拠も何もない手の動きだった。
しかし、クラウドは目を細める。
その決意の輝きは、
強すぎるのに、痛くない。
「あんたなら、できるかもしれない」
「え?」
「俺が、できなかった、こと。…大切なんだろ?」
ジタンはしばらく考え込んで、それから口を開いた。
「…よくわかんねえ。大切かなんて、わかんねえけど…」
あの時、怒りが生まれなかった理由を、
彼の、本当の気持ちを、
世界の、真理を、
「知らなきゃ、納得できない!」
それを聞くために、確かめるために。
会わなきゃ。
あいつに。

「クジャに――会おう」

「ジタン!何を言ってるんだ!!」
スコールがジタンの肩を掴む。
滅多に大声を出さないスコールの声にジタンは驚いていたが、スコールはそんなことに構っていられなかった。
「あの時俺たちを襲った奴に会おうって言うのか!?危険だ!!」
「でも!あいつしか知らないことがあるかもしれない!!世界がなくなってもいいのか!?」
「しかし――!!」
「スコール!!」
ティーダとクラウドの声が重なった。
その制止を受け入れ、スコールは仕方なく口を閉じる。
「…変換者は、他にもいる」
「もしそなたがクジャを救ったとしても、他の変換者が狂気と交わり、神竜に力を与えるかもしれん」
クラウドが大きな窓の傍に行き、冷たいガラスにそっと手を触れる。
「改変の刻が訪れる前に――全ての変換者を、狂気から引き離しておかなければ」
たとえたった一人だけが力を与えたとしても、その力は強大。
そんな力には、到底太刀打ちできない。
元を完全に絶ってしまわなければならなかった。
「変換者はあと何人いるんだ?」
「それが…クラウドの先詠みでもわからないらしいんだ。」
「この城の北西にある森――そこに変換者と関わりの深い遺跡があるようだ。」
セシルがジタンに歩み寄り、地図を手渡す。
「そこに何か手掛かりがあるかもしれない」
「変換者を、世界を知りたいのなら…行くといい。先にクジャに会いたいなら、そっちが先でも構わない」
「クラウド!」
思わず声を出したスコールを一瞥し、クラウドはため息をついた。
「そんなに心配なら、あんたもついていけばいい。これから先は俺の依頼じゃあないが」
「…ジタン」
スコールが名を呼ぶと、ジタンは笑った。
「ついてきてくれないか?スコールがいれば心強いし」
「わかった」
「あ、もちろんティーダもな!」
「了解ッス!」
「…決まりだな。俺も…もっと先まで詠めるように努力してみる」
いつの間にか、夕日が影を伸ばしていた。
窓の外に広がる橙が、部屋を包み込む。
「今日は休んで、明日発つといい。部屋を貸そう」
ゴルベーザが手元のベルを鳴らすと、ややあって先ほどの少女がやってきた。
「お部屋までご案内します」
変わらぬ笑顔を向ける彼女の後を追って、ジタンたちは部屋を出た。

「お食事は後で持ってきますね。ごゆっくりしていてください」
一礼して、少女は部屋の扉を閉めた。
通された部屋は驚くほど豪華で、ベッドは全て天蓋つきだった。
「すっげー!ベッドふかふかーー!!」
「やべぇぇ!オレ、こんなふかふか初めてッスよーー!!」
溜息をつくスコールをよそに、ジタンとティーダはしばらく騒ぎ続けた。

「…そなたは」
「はい?」
「そなたは…もう、承知か」
「…はい」
「酷なことを、教えてしまったな」
「大丈夫です。ゴルベーザ様やみなさんが苦しんでいらっしゃるのに、私だけ何も知らないなんて、耐えられませんから」
「いずれ、刻は必ず訪れるだろう」
「はい」
「こうなることは避けたかったが…その時は、そなたの力を借りるかもしれぬ」
「私の力がお役に立てるならば、喜んで」
「恐ろしく強大な力と向き合うことになるだろう」
「心しております」
「命の灯が消えてしまうかもしれぬぞ」
「体が動かなくなっても、魂があります」
「そうなる前に…そなたには逃げて欲しい」
「いいえ。それはできません」
「何故だ」
「あの時、私は決めたんです。最期まで、ゴルベーザ様に御供すると…」
「そなたは、それでいいのだな?」
「もちろんです!」
「すまない…共に、闘ってくれ」
「はい。ゴルベーザ様の御心のままに…」

すっかり月が昇ったころ。
ジタンはこっそり起きだして、身支度を整えた。
スコールたちに気づかれないようにと、足音を立てないように扉に近づいた。
「ジタン」
名を呼ばれて、思わず跳ねる。
振り向くと、声を殺して笑っているティーダがいた。
「ティーダ!起きてたのか」
「なんだか寝付けなくって」
小声で話しながら、静かに部屋の外に出る。
「行くんスよね?クジャのところ」
「ああ。…スコールには、悪いけどさ」
「スコール、めっちゃ反対しそうだしな」
「でも、オレ、どうしても会って確かめたいんだ。世界のこと、あいつのこと、そして―」
「カッコつけんな!」
「へ?」
ティーダの手が、乱暴にジタンの頭を撫でる。
「ただ会いたい、それだけで充分ッス!」
太陽のように笑うティーダに、緊張の糸が解されていく。
「スコールはオレとかクラウドがなんとかするッスから!」
「…サンキュ、ティーダ!よろしくな!」
満面の笑みを浮かべたジタンは、手を振りながら外へと向かった。
それを見送って、ティーダは部屋に戻ろうと扉を開ける。
「――あだっ!?」
一歩踏み出そうと思ったら、何かに激突した。
遅れてそれが何か理解すると、顔が青ざめていくのがわかった。
顔を上げると、やはりそこには、
「す、スコール…」
「…行かせたのか」
威圧感に言葉が出なくなり、行き場のない視線を彷徨わせる。
そうしていると、スコールがティーダを押しのけてジタンを追おうとした。
「待てよ!!」
ティーダは必死になってスコールの腕を掴んで止めた。
「行かせてやれって!!」
「お前は何もわかってない!俺たちはクジャに殺されそうになったんだぞ!今度こそ、ジタンが危ないかもしれない!!」
「言ったんだ!!会って確かめたいって!!」
大声を張り上げ、スコールの勢いを呑み込む。
呼吸を整えて、ボールを取り出す。
「それに――クジャ、泣いてる。」
ボールに映るは、深い深い、悲しみの色。
それに溺れる死神の姿。
じっと悲しみの色に包まれ、ぴくとも動かない。
「オレ…こんな悲しい色、見たことないッスよ…!」
ひしひしと、指先から痛みが伝わる。
怪我をしているんじゃない。
この痛みは、クジャの心の痛み。
「ジタンならきっと大丈夫。それにさ、オレ、この前クジャと話したんだ」
スコールの目が少し見開かれる。
でも、そんなこと気にしていられない。
ちゃんと伝えなきゃ。
「クジャも、ジタンに会いたがってた。きっとまだ、狂気になんて交わってない!」
「…」
「だから、オレたちは早く森の遺跡を調べるのが仕事じゃないかな。ジタンを信じて、できることをやって待ってるべきだと思う」
スコールの腕から力が抜けた。
掴んでいた手を放すと、それはだらんと力なくぶら下がる。
「…悪かった。大声、出して」
「ううん。ありがとう、スコール」
どうやら、ジタンを行かせてくれるようだ。
彼も、ジタンを信じていないわけがない。
だからこそ、今のティーダに反論できなかったのだ。
ジタンを信じていないような行動はできない。
クジャと会うことをジタンが望んだのなら、それを止められる気もしなかった。
二人が寝入る頃には、すでに月が大きく傾いていた。


囁きが聞こえた。
頭の中に直接響いてくるような、大きくて小さな囁き。
それは、自分を呼んでいた。
「クジャ…!」
名を呼ぶ声は、彼のものだと思った。
やはり確証はない。もしかしたら幻聴かもしれない。
それでも、それを追うしかなかった。
胸騒ぎがする。
何もかもが変えられてしまうような、嫌な風が耳元で嗤って流れていく。
森を抜けると、月がよく見える崖に出た。
これ以上道はなかった。
でも、声はここから聞こえた。
幻聴だったのか、
そう肩を落としかけたとき。

「逢いたかったよ…ジタン」

冷たい指先が、唇をなぞる。
後ろから抱き締められ、身動きが取れない。
「僕の声を、聞いてくれたんだね…」
「クジャ…?」
首だけを動かしてみると、そこには、
「そうだよ。キミが探し求めた、キミだけの僕」
雪のように白い肌と、長い銀髪を持つ変換者の姿。
「クジャ!」
着衣の色も、唇と髪の紫も薄らいで見えるのは、強い月の光のせいだろうか。
そんな疑問は、すぐに姿を消した。
代わりに聞きたいことが溢れ出して、逆に口が動かなくなってしまった。
一旦落ち着けてから、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「聞きたいことが…たくさんあるんだ」
「僕も…言わなければいけないことがたくさんある」
優しい旋律。
自分を幾度も包んだ、甘い囁き。
何も変わりのない、彼の声だった。
「お前は…本当に、オレを喰らおうとしたのか…?」
そんなこと、考えることもできない。
旋律の先にある安らぎに、幾度も助けられてきたから。
何よりも尋ねたかった。
あの時と同じく、否定を求めた。
「キミは…そう思っているのかい?」
「思ってない!だって、お前は――っ」
溢れる言葉を、細い指がせき止める。
「キミの思う通りさ」
その指が、頬を伝って、輪郭をなぞる。
「僕はキミを喰らおうなんて思っていないよ」
「…!」
その一言に、今までのしかかっていた重石が取り払われた。
緊張が解れて、笑みが零れる。
「思うはずがないさ…だってキミは、」
ぐ、と顔を上に向かされる。
驚きつつ合わせた視線の先には、
「――!?」
狂気。
あの日の狂気の紅ではない。
冷たい、深紫。

「狂って、狂って…僕と共に世界を滅ぼす死神となるんだから」

思わず叫ぼうと開いた口は、薄紫の唇に塞がれる。
意識が深い闇に沈められていくのがわかった。
手を伸ばした。
「クジャ……!」
目の前の命ではなく、遠くに輝く沈んだ命に…


「あらぁ?こんなところでヒトリ何をしているんですか?」
道化が、横を回る。
「アナタのことです!きっとあの子に手を出したんでショ!」
「…煩い」
「アッタリーー!ボクちん頭イイ!」
「黙れ!何も知らずに踊らされる道化のくせに!!」
道化は嗤ってモニターフォンを差し出す。
「見る見ないと行く行かないは勝手ですケド」
その中には、孤高の獅子と太陽。
「ボクちんにはあの子の姿が見つけられないんですネェ…」
「…っ!?どういうことだ!」
「さあ、ボクちん知らなぁい」
「……ふざけるなっ!!」
大量の魔力を呼び寄せると、道化は両手を挙げて笑う。
「ただわかるのは、彼らがあの遺跡にある結界の存在を知らないってことじゃないですか?」
画面上で、ただがむしゃらに突き進む二人の姿。
どんどん奥に向かい、敵を倒していく。
しかし、それだけでは奥に辿りつけない。
「彼らならあの子の向かった先を知っているハズですし」
「……」
「…アナタは、あの子がこちらに向かってるとでも?」
「思わないさ」
「辿ってみなサイ。早くしないと、彼らが死んじゃうけどネ!」
高笑いと共に、道化が消え去る。
モニターフォンは未だに同じ人物たちを追う。
「…」
今なら、まだ間に合う。
モニターフォンを拾い上げ、銀の影は森へと向かった。


「狂気から、変換の星が抜け出した…」
クラウドが星を見上げ、呟く。


通信用の端末が音を立てる。
ボタンを操作すると、短い文章が表示された。
「スコール!クジャが元に戻ったって!」
クラウドからの連絡だったらしい。
狂気から変換の星が抜けたということは、ジタンが彼に会い、説得できたということだ。
とりあえず、安堵して息が漏れる。
「…あとは、俺たちが俺たちのすべきことをするだけだ」
スコールは前を向いた。
…遺跡を突き進んで、どれくらい経っただろう。
敵の数は一向に減りそうもない。
しかし、こちらもあまり消耗はしていなかった。
「…スコール」
ティーダの不安げな声が届く。
そう。
何かがおかしい。
変換者は自分たちの素性を隠して生きている。
この世に何人いるのか、それが誰なのか。
一族のすべてが眠るといわれるこの遺跡を守るには、こんな守護者たちでは足りない。
「だが、止まるわけにはいかない」
ジタンはすべきことを成し遂げた。
自分たちは、自分たちにできることを。
「スコール!扉が見えたッスよ!」
目の前に、大きな扉。
豪華な宝飾品は、美しい輝きを放っていた。
この先が、きっと変換者の秘密が眠っている場所。
その扉に触れようとしたとき。
「スコール、危ない!!」
「――!?」
ティーダがスコールを突き飛ばして、自分も床に転げる。
二人が今まで立っていたところに、上級魔法の光が着弾し、破裂した。
その光が飛んできた方に視線を向けると、そこには銀色の変換者が降り立っていた。
「…何をしにきた!!」
スコールが睨んでも、彼は物ともしなかった。
近くに転げる守護者を拾い上げ、扉に向かって放る。
扉に触れたところから青く形が歪み、溶かされたように地に落ちた。
その次に彼は、近くに転がっていた人の骨を扉に投げた。
同じく、青く歪んで溶ける。
呆然とその様子を見る二人を笑いながら、彼は扉に触れた。
しかし、彼は歪んで溶けなかった。
「…これで理解したかい?」
魔力を掌に集めると、扉の文様が輝いて、重い音を立てる。
ゆっくりと、扉が開いていく。
「この扉には、変換者しか触れられないんだ」
「…だから、守護者の力が弱くても、最奥に辿りつかれることはない…ということか」
「その通りさ。…そっちの子はわかってると思うけど、キミみたいな奴がいるから、一応言っておく」
一息ついて、彼は魔力をすべて外に逃がした。
「僕はキミたちと戦いに来たんじゃない」
淡々と言うと、彼は奥の広間へと向かう。
いとも簡単に、背中を向けてみせたのだ。
「…クジャは、ホントに戦う気、ないッスよ」
ティーダも武器を納めて、変換者の後に続く。
その後ろ姿を見つめ、スコールは悩んだ。
わからない。
何故ここに彼が来たのか。
そして、変換者の秘密につながる扉を開いてくれたのか。
それより、何より。
「お前は…ジタンに会わなかったのか?」
奥に安置されていた石板を読んでいた二人が振り返る。
ジタンは彼に会えたはずだ。
彼を狂気から救い出し、世界を危機から遠ざけた。
そのまま共にいてもおかしくない。
何故、彼がひとりだけでここにきたのだろうか。
「ジタン…彼が、僕の所に向かっていたのかい?」
「え?だって…クジャ、元に戻ったってことは、ジタンが狂気から引きもどしてくれたってこと
ッスよね?」
「いや…彼には会ってない」
クジャはきっぱりと言った。
「じゃあ、どうして元に…?」
尋ねると、彼は自嘲した。
「狂気より、迷いや哀しみの方が大きかった――彼を傷つけたことが、こんなにも影を落とす
ことになろうとはね――」
「狂気より、哀しみに囚われた…そういうことか」
「ちょっと待つッス!じゃあ、ジタンは今、どこにいるッスか…!?」
今も探し回っているのだとすれば、どこに向かっているかわからない。
この世界は、一人では危険なことばかりだ。
ひとりにするわけには、いかない。
不安が三人を包む。
「探してみよう。彼に危険が及ぶ前だといいけど…」
クジャが指を鳴らし、光を呼ぶ。
光を纏い、着衣が変化する。
前後左右に魔法陣を展開させ、探査を行う発見者(ファインダー)の姿が成される。
瞬間、クジャはせき込んでその場にうずくまった。
「大丈夫ッスか!?」
「…何でもないさ。――さあ、ジタンを探すよ」
よろけながらも立ち上がり、魔法陣に魔力を送る。
四方の魔法陣が輝き、分離して八方、十六方に展開した。
そのうちのひとつが強く輝くと、全ての魔法陣がそこに集まり、大きなひとつの魔法陣になった。
そこからさらにまっすぐに小さな魔法陣が並び、共鳴する。
「――っ!!」
クジャが弾かれたように顔を上げた。
その輪郭を、一筋の汗が伝う。
「どうした」
「――これは…」
光が弾け、クジャの姿が発見者から高魔導師に戻る。
よろけた彼は、後ろにあった石板に手をついた。
「ジタンは――」
石板が、変換者に反応して文字を浮かび上がらせる。
「ジタンは、僕たちじゃない他の――もうひとりの変換者に捕らえられている――!」
石板は“3”と変換者の数を示した――

 

「さあ、思い出してごらん」
「嫌、だ…っ」
「どうして?真実を知りたがってたのはキミじゃないか」
「あ……っ!」
「教えてあげる。僕が、優しく…残酷に…」
「嫌だ…いや、だ……っ!!クジャ――!!」


「始まりましたか」
道化が、暗い闇の塊を見つめて言う。

バッツは木の上で昼寝をしていたが、冷たい風に目を覚ました。
先ほどまでの青空は消え失せ、代わりに広がるは、暗雲。
「…ボコを置いてきて正解だったかもな」
下を見ると、うごめく黒い塊が、こちらに手を伸ばしていた。
すべてを呑み込まんと、貪るように。
しかし、バッツは笑う。
「後悔するぜ?ここなら、暴れても問題はないだろうし、それに――」
剣を鞘から抜き出すと、暗雲を映して黒く染まっていた。
「太陽を追うオレに、そんな闇は通用しないさ」

「これは…!?」
「うろたえるな。以前教えてやっただろう」
空を見上げて驚きを隠せないフリオニールの横で、皇帝は小さくため息をついた。
「しかし…聊か早すぎる」
立ち上がり、フリオニールの腕を掴む。
「ちょ、何すんだ!皇帝!」
鉄製の厚い扉を開き、小さな部屋にフリオニールを投げ置く。
「虫けらはそこで黙っていろ。――私が戻るまで、動くなよ」
「皇帝――!」
扉を閉めると、彼の声は聞こえなくなった。
長い息を吐いて、杖を手に取る。
窓から眼下を見下ろすと、美しい薔薇を侵食していく闇の姿が目に入った。
「私の領域に踏み込んだこと、後悔するがいい」
バルコニーに出ると、冷たい風が金の髪をなびかせた。

木と木の間を、縫うように走る。
後ろの少女が息を切らせているのが伝わってくる。
「ティナ!もう少しで高台に出るから、頑張って!!」
「うん…っ」
このまま行けば逃げられる。
そう確信した。
しかし。
「――っ」
崖を登るティナを後ろから補佐していた時。
何かが足に絡みつく感触がした。
見てみると、やはりそこには、闇。
「…ティナ」
足が動かない。
闇がどんどん侵食していく。
鞘から剣を抜いた。
どうせ動けないなら、闇も行かせない。
「高台に出たら、南を向いて。そっちに大きな城が見えたら、そこがゴルベーザの城だよ」
「あなたは…?」
「僕はちょっとここでやることがあるんだ」
振り返ると、闇はもうすぐそこまで迫っていた。
「私も手伝う!」
「駄目だ!ティナ、キミは逃げてゴルベーザのところに行って!」
必死の訴えに、彼女は悔しそうに、だけど頷いてくれた。
足音が遠ざかる。
ひとまず、これで安心した。
ゴルベーザの城の周りは、まだ闇の浸食が進んでいない。
彼女に闇を近づけたくない。
闇は引きずり込む気だ。
彼女を、無意識の地獄へと。
あんなことは、もう、二度とさせない。
優しい彼女が、彼女で在れるように、
「ティナは、僕が守る!!」

「――!!」
「クラウド!?」
「何事だ」
「…何故……!」
今にも落ちそうな重たい空に、星の光が薄れる。
それに呼応するように、クラウドの瞳にも影が落ちた。
「改変の、刻だ……!」
鐘が鳴り響く。
世界の終末を告げる鐘。
「そんな!こんなに早く…!?」
「狂気と交わった変換の星が…二つ…」
「それで神竜が力を得て、刻の始まりが早まった…というわけか」
「神竜がこの世界に具現化する前に…二つの星を…狂気から、救い出さなければ…!」
セシルが窓の外を見る。
迫る闇を見つめ、ゴルベーザと頷き合った。
「守らなきゃならないものが、この城の近くにはたくさんある…。クラウド、スコールたちに連絡しよう。僕らは、ここを守らないと」
「…わかった。あいつらと、狂気から抜け出した変換の星に賭けてみよう…」
連絡はクラウドに任せて、セシルは光の剣を手に取る。
「兄さん、僕は街に向かいたい」
「セシル…」
「守りたいものが、あるんだ」
愛しい彼女の微笑みが浮かぶ。
何としても守らなければ。
自分をいつも助けてくれる、かけがえのない人。
「行くがいい。セシル…お前なら、守ることができるだろう」
「ありがとう、兄さん。――行ってくる!」
光を纏って、聖騎士は城を出た。
「…戦いの時だ」
ゴルベーザがマントを翻す。
それが合図のように、四つの影が集結した。
「激しい戦いになるだろう」
『我らはゴルベーザ四天王。最期までゴルベーザ様に御供いたします!』
「お前たちの力を信じる。だが、もしも危なくなったなら…」
『ゴルベーザ様』
『今更何を仰います』
『ふしゅるるる…その通り』
『その子の言うとおりですわ』
『『『『私たちの力がお役に立てるのなら、喜んで戦いに身を投じましょう』』』』
四つの影は、土を、水を、風を、火を従えて四方に散らばった。
それを見送って、少女は立ち上がる。
「ゴルベーザ様、門はお任せください」
古ぼけたマントを纏いなおして、腰に吊った剣の柄を撫でる。
「貴方が私をお呼びになるまで、私はこの城を守りきってみせます!」
少女は、そのまま走って、セシルと同じように城を出た。
それぞれが、それぞれの守るべきもののために、戦いへと向かっていく。
「私も、向かわねばな…」
バルコニーへと続く窓の傍でうずくまっているクラウドが、小さな声で呟いた。
「防げなかった…」
小さな、小さな、泣きそうな、声。
「俺がいたのに…守れなかった…」
「クラウド」
彼の眼は、既に影に覆い尽くされてしまっていた。
「どうすればいい…?俺は…?ゴルベーザ…あんたは、どうして戦えるんだ…?」
問いを受けて、窓の外を見る。
城の下には、ここを守ろうと戦う部下たちの姿。
「…守りたい未来がある」
自分のためにと、自らをも差し出してくれる彼らのために。
強く寄り添ってくれる、彼女らのために。
「だから私は戦えるのだ、クラウド」
それだけ言って、ゴルベーザは最上階へと向かった。
残された詠剣士は、冷たいガラスにもたれかかる。
どうしたらいいかさっぱりわからない。
スコールたちは変換の星を救うため、必死に動いてくれるだろう。
ゴルベーザ達は、守るべきもののために戦う。
俺には、何もない。
大切なものは、自分のせいでこの世からなくなってしまった。
未来が視えて、こうなることだってわかったかもしれないのに。
どうしていつも肝心な時だけ、こうも詠むのが遅いのか。
自分のせいだ。
「…、す」
悔しさに、涙が溢れている。
頬が濡れてるから、きっとそうだと思う。
唇が紡ぐのは、
「ざっく、す…」
なくしてしまった、自分のせいでなくなってしまった、
「ザックス」
大切な、名前。


「クラウドから連絡だ。改変の刻が始まった…狂気に囚われた変換の星が二つ…それを救ってほしい、と」
「でも、ジタンが捕まってるって!」
世界の異変には気付いていた。
しかし、いろいろなことが重なり合って、まず何をしたらいいのかわからない。
「ジタンを助けに行こう。それで…すべてが終わる」
クジャは、ただひとり冷静だった。
否、冷静になろうとしているようだ。
大きすぎる不安や恐怖は、どうやっても隠しきれない。
「全てがって…変換者は三人いるんだろ?クジャと、ジタンを捕まえてるもう一人と…どう考えても、二人しかいないッスよ」
「いや、それで三人さ」
「どういうことだ?」
スコールが尋ねるが、クジャは答えなかった。
「早くしないと世界もジタンも助からなくなってしまう…急ごう」
走り出したクジャを追って、二人も駆け出した。


遺跡を出ると、闇が広がっていた。
各々が武器でしのぎながら、その中を駆け抜ける。
「シュート!」
迫ってきた闇に向けて、ボールを蹴る。
光を宿らせたボールは闇の真ん中を突き抜けて帰ってきた。
それを受け止めて、前を走るスコールを探す。
視界の端に、彼へと迫る闇を捉えた。
「スコール!!」
思わず、ボールではなく素手で闇を止めてしまう。
すぐに闇は絡みついてきて、身動きが取れなくなった。
「ティーダ!」
「スコール…っ!」
体が闇に包まれる。
視界をも埋め尽くす闇に恐怖し、目を閉じようとすると、

「目ぇ閉じんな!」

閉じかけた目が、反射的に開かれる。
次の瞬間には絡みついていた闇が取り払われていた。
「大丈夫か?」
「あ、あんたは…!」
「久し振り。また会ったな!」
闇を取り払ってくれたのは、バッツだった。
彼はティーダの手を引いて走る。
それを見てスコールも前に向き直り、クジャを追う。
「バッツ、どうしてここに?」
「ん?ティーダ達に協力したくなってさ!」
「そうなんスか!よっし、一緒に頑張るッス!」
ティーダは素直に喜んで笑った。
闇の中でも曇らない笑顔が眩しい。
ああ、やっぱり追いかけてきて正解だった。
彼といれば、闇に呑まれることはなさそうだ。
「ひとりだったら…押しつぶされてたかもな」


牢獄に、ぽつんとひとつ、椅子が置かれている。
そこに座らされた少年は、泣き腫れた目を微かに開いた。
「オレが…殺そうとした…オレは…」
紡がれる言葉に、満足げに笑う変換者がいた。
雪のような白い肌、長い銀髪を持つ、変換者。
「ジタン…言って御覧。僕の名前は?」
格子越しに話しかけると、彼は答えてくれる。
「クジャ」













詰め込みすぎた(笑)←
なんだかバツティが乱入してきましたw
ほんとはこれからのバッツの役割はのばらにやらせようとしてたところです←
もうそろそろ終盤…かもしれません。
前に中盤とか書いたけど、もう終盤に向うから中盤ないようなものでした(^O^)←
それでは、読んでいただきありがとうございました!!

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